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TOP>まぐろの基礎知識>養殖まぐろと畜養まぐろの違い
一昔前まで、スーパーや回転寿司で使われているマグロといえばメバチマグロでした。本マグロ、ミナミマグロは安定的に供給するのが不可能だったためです。なぜ、安定供給が出来なかったのか?それは、マグロが回遊魚であり養殖する事が非常に難しい魚だったためです。稚魚(卵からかえったばかりの魚)から育てた、もしくは卵からふ化させた完全養殖に成功したのはなんと2002年7月のこと、まだ4年くらいしか経ってないのです。それも成功しているのは日本だけ・・・いかに難しい事かということがわかるでしょう。


 一方で畜養まぐろという言葉を聴いたことがあるかもしれません。養殖まぐろも畜養まぐろも日本工業規格では同じ養殖と分類しています。では、養殖まぐろと畜養まぐろはどこに違いがあり、なぜ使い分けられているのでしょう。先ほども触れたようにまぐろの完全養殖に成功したのはわずか数年前のことであり、まだまだ一般の流通には載せられていません。これに対して幼魚や時期ハズレの脂の薄い小型のまぐろを捕らえて生け簀(直径約50m)でエサを与えて育てたまぐろの事を畜養まぐろと呼んでいるのです。スペイン、マルタ、イタリア、トルコ、クロアチア、キプロスなどの地中海産の本まぐろとオーストラリア近海のミナミまぐろがこの部類に属します。

 特にスペイン(カルタヘナ)では、本マグロの好漁場である地中海では、春から夏にかけていわゆる”旬”をはずしてしまった脂の抜け落ちた「やせまぐろ」が回遊しています。従来はツナ缶の材料でしかなったのですが、畜養して出荷すれば現地価格の20倍ぐらいにはなるとの予測で事業を1995年から始めました。つまり、日本向けのビジネスモデルだったわけです。スペインの成功で、地中海沿岸諸国でも畜養が始まり、今後も続々と参入計画が進んでいるとか・・・。日本への出荷は9月〜5月頃までとなります。

 オーストラリア(ポートリンカーン)は畜養のミナミマグロの世界最大の生産基地といわれています。港から約20km離れた沖合の湾内に、直径約40mのいけすで、12月頃(オーストラリアでは夏場ですね)回遊して来る小型のマグロを捕獲し、いけすの中で餌をどんどん与えて、太らせ全身をトロにするスーパーまぐろです。日本の指導でオーストラリアで魚肉を加工したペレットなどを与えて育てています。回転寿司やスーパーなどで、トロが安くなっているのは畜養まぐろのおかげなのです。専門家が食べると、その酸っぱい独特の匂いで「畜養」と分かるそうですが、一般消費者には区別がつきにくいでしょう。

 
トロ身を増やすためにイワシをエサとして与えると、イワシ臭いまぐろになってしまうためイワシを与えるのは出荷の2〜3日前までと言われています。赤の色を発色させるために、エビの頭部も時々エサにすると言いいます。日本への出荷は、5月〜9月頃です。ここでも、食べ物が「工業製品化」されたとまたひとつ不安になります。


 日本のマグロ消費量は世界的に突出していてワシントン条約の対象にもなっています。取る漁業から育てる漁業への転換は必然だとは思うのですが、いやはやここまで日本人の好みに合わせるために細工する事がほんとにいいことなのでしょうか。多少の疑問を感じてしまったりもします。

 
畜養マグロの特徴として脂の乗り具合が挙げられます。よくある意地悪なクイズで、天然本マグロと畜養マグロの食べ比べをしたところ、6割以上の人が畜養の方が脂が乗ってておいしいと答えたという笑えない話があるほどです。生簀は、海と違って狭いので必然的に運動量は少なくなり、身も柔らかくなります。その上エサを与えるので当然トロの部分が増えるわけです。

 じつは、日本では日本農林規格(JAS規格)で、餌を与えて育てた水産物はすべて『養殖』と表示するよう義務付けられている為、一般に養殖マグロといわれているものはこの畜養マグロをさしています。本来の稚魚から育てた国産完全『養殖マグロ』はほとんど市場に出回っていませんが、一部の百貨店に出荷されているということです。

 世界的資源であるマグロを乱獲するという名目で日本漁業に批判的、操業規制にうるさい豪州や西欧諸国でも、外貨を稼げる養殖、畜養には意欲的に取り組んでいる・・・マグロ消費大国の日本にとっては、安くて安定的にマグロが供給されるのはいいことだとも思うのですが、やせマグロや体重20~30kgのマグロは乱獲の対象にはならないのでしょうか?悲しい事ですが政治的な匂いがしてきます。特に最近ではBSE問題や遺伝子組み換え食品の問題など海外産の食料の『食の安全』に関心が集まってきています。優れた日本の技術で生産された国産完全『養殖マグロ』が日本の市場で多く取り扱われるようになってくれれば、『食の安全』や『世界資源の保護』の問題が解決してくれるでしょう。


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